A・C・ドイル

1915年のドイルの作品『恐怖の谷(THE VALLEY OF FEAR)』を読んでみました。ホームズ物はいつでも読めるので後回しにしていたのですが、あのディクスン・カーのお薦めミステリにも挙げられていたので、これだけ先に読んでみようと考えたからです。有名な作品ですので、訳本も多く出されていますが、自分が手にしたのは、創元推理文庫(深町眞理子さん訳)です。新訳だけあって、とても読みやすく、今回はすらすら読み進めることが出来ました。このミステリは二部構成で、第一部はホームズが登場する英国の田舎での殺人事件を描かれていて、タイトルにある「恐怖の谷」とは、第二部に描かれているペンシヴァニアの炭鉱地帯を指しているようです。その地域に組織されている「大自由民団」は、その一帯の自警団的な存在になっていて、そこを舞台にした血の粛清劇の顛末が、遠く英国にまで紐付いているという展開になっています。しかも最後はあのにっくき「モリアーティ」まで関わってくるという、けっこうスケール感のある作品に仕上がっています。