Miss Read 4

のんびり長閑なミス・リード女史の小説は、まさにこの季節に読むにはぴったりと思います。『スラッシュグリーンからの風:News from Thrush Green』(1970)の舞台は、イングランドの南西コッツウォルズ地方のスラッシュグリーン村です。フェアエーカー村のような農村ではありませんが、ゆったりと時間が流れている静かな郊外の村です。ここで日々起きる出来事を淡々と描いている小説ですが、面白いのは登場人物で、それぞれが異なるバックボーンをもちながら、この小さな村に愛着をもって過ごしている様子が、なぜかとても癒されるのです。 田舎ならではのプライバシーのなさは似たような感じですが、中産階級の人々の暮らしだけあって、個人的にはこちらの方が暮らしやすそうに思えます。イギリス旅行ガイドをみてみると、ハリーポッターのロケ地にもなった美しいはちみつ色の家々が立ち並ぶ同地方は大人気なようで、ロンドンから足を延ばしてのオプショナルルアーも数多くあるようです。思うに、ミス・リードの描いた時代とは異なり、いまは観光客の雑踏でさほど落ち着いた暮らしをのんびり楽しめるかどうかは不明です。