Aaron Elkins 5

エルキンズ夫妻共著の女子プロゴルファーシリーズ第二話、『悪夢の優勝カップ:ROTTEN LIES』(1995)です。賞金ランキング98位という貧乏プロゴルファー「リー・オフステッド」も運不運に弄ばれて、ツアー初日でコースレコードを樹立したのもつかの間、不幸にもコース上で倒れていたワンマン理事長を偶然見つけて心肺蘇生したにも拘らず、理事長は帰らぬ人となっていました。じつはすでに感電死していたのでした。リー自身も、傷んでいた肘を蘇生術で更に悪化させることになり、なんと以降のラウンドは棄権という苦汁をなめます。カーメル署のグレアム刑事とのロマンスも気になるところですが、持ち前の好奇心で、理事長を殺した犯人を探ろうとしていくと、そこに新たな殺人が、更にはリー自身にも魔の手が。。。といった風に、なかなか読者を安心させてくれない展開にやきもきしますが、まあそれだけ愉しいミステリーだということです。
足りないのは成績だけで、性格の良さとビジュアルで、周りにサポーターがたくさん集まってきます。ヒロインなので当り前ですが、どうしても応援したくなるような人柄ですね。この回のポイントは、先ずはゴルフ中継を行うテレビ局の空気が面白いです。まともな展開よりもミスショットなど耳目を集めるようなネタを最優先にしている点は笑えます。まあ彼等に世間一般のモラルは期待しない方が良いのは、皆さまも良く知るところでもあります。もう一つは、世の女性にとっては大きな課題になっている仕事と恋愛の両立、なんだかんだ言って、「結婚」という二文字で男性は女性を「所有」したがる傾向が、今でも色濃く残っています。たった一度の人生を意義あるものにしたいため、仕事に打ち込みたいのは女性でも同じなのに、それを理解できるパートナーは相当に少ない気がします。自由の国、アメリカでさえそうだと思います。ミステリーのなかで、それもちらつかせるのは、おそらく夫婦共著のなせるわざでしょうね。この課題を打開する妙案は簡単ではありませんが、百組いれば百通りあるはずだと思いますので、この物語はそれを後押しする一つのメッセージになっているのかも知れません。