彼の本はこれで三冊目になります。1924年にハリントン・ヘクスト名義で発表した『だれがコマドリを殺したのか?』は期待に違わず、とても面白く読めました。評価は(特に欧米で)分かれますが、自分はとても好きな作家です。ここで言う「コマドリ」はアメリカ版タイトル『Who Killed Cock Robin?』から来ております。英米圏では誰でも知っている童謡、マザー・グースの一篇から引用しているので、はじめのイギリス版タイトル『Who Killed Diana?』よりもアイキャッチ効果は高かったと思います。そして肝心の内容ですが、ミステリ部分もさることながら、いつものように人の心の闇にスポットを当てるフィルポッツの筆力には舌を巻きます。恋愛で舞い上がった男女が、時と環境変化に翻弄されて、お互い憎み合うようになり、そして新たな災厄を呼び込んでいくという流れなのですが、読んでいてびっくりしたのは「人を呪わば穴二つ」が日本だけの話ではなかったこと。英文では「Curses return upon the heads of those that curse」とか言うそうです。文化圏が違っていても、似たような故事があるということは、やはりこれは真理なのでしょう。









