S.J. Bolton 2

さっそくS.J.ボルトン女史の次作を借りてきました。『毒の目覚め:Awakening』(2009)ですが、これもまた上下二巻構成になっております。「毒」を示すものが蛇毒だとは思いもしませんでした。この生きものはキリスト教のなかでは特殊な扱いを受けており、さらに言えば異端派のなかには、蛇を神聖視するものさえあると云う事です。物語の舞台はイギリス南端のドーセット州、ここにある野生動物病院の獣医師、クララ・ベニングが物語のヒロインになります。前作の産科医トーラも尖ったキャラでしたが、クララも負けず劣らずの人間嫌いです。子どものころに負った顔の傷跡が、心に大きく影響したのでしょうが、その苦しみには深く共感できます。そんなクララにもちゃんと素敵なナイトが登場するのだから、人間とは不思議な存在です。さて、蛇毒を語るにあたり、クララが幾度も「ヤマカガシは無毒ですので怯えないで」と言っているので、それは嘘だろうとさっそくツッコミましたが、実はヨーロッパで言うヤマカガシ(European grass snake)は、日本にいる毒蛇のヤマカガシ(Tiger keelback)とは別種でした。生物界では同じ呼び名でも地域ごとに違った種を指すことがしばしばあります。また毒蛇として現地で恐れられているヨーロッパ・クサリヘビ(European Adder)がしばしば登場しますが、クサリヘビ科なので、日本で言うとマムシやハブの系統になるようです。あまりお近づきにはなりたくない面々です。もっと怖い蛇も登場しますが、ここでは触れないでおきます。