Agatha Christie 36…Reread

今日は「ノン・シリーズ」の『忘られぬ死:Sparkling Cyanide(1945)』をご紹介します。今回はポアロ役をルイス大佐が演じます。富豪の女性ローズマリーが、インフルエンザ開けの誕生パーティの席上で唐突に亡くなったことから始まります。死因は青酸カリがグラスの飲み物に入っていました。いくつかの物的証拠から、ローズマリーは病後のうつ状態から立ち直れず自殺した、というのが検死審問の結果でした。死後、ローズマリーの不倫や愛人との軋轢が次第に明らかになっていき、彼女の死は他殺、つまり毒殺ではないかという大きな疑惑が、夫ジョージの心に湧いてきます。そこで、彼はもう一度、同じ場面を設定して犯人にわなをかけようと目論みます。そこから、第二の殺人が発生します。ジョージの友人でもあるルイス大佐はケンプ警部とともに犯人探しを始めますが、そのテーブルに同席したメンバーには、すべて「動機」があります。ですが確たる証拠がありません。いわゆる「フーダニット」と「ハウダニット」の極みをこの小説は提供してくれます。ミステリーファンにとっては、なかなか歯ごたえのある内容で、各専門家もこの一冊をベスト10や、中にはマイベストに取り上げているほどです。内容をほとんど忘れている自分は再読にも拘らず、自分なりの「真犯人」を外してしまいました(汗;。
この本が巷で人気なのは、殺人事件を扱っていながら、恋愛の機微を上手に織り込んでいるからでしょう。殺人は誰でも出来ることではないですが、恋愛に伴う愚かしさは誰しも憶えがあるからです。