学者というのは、一般人からすると、とんでもない狭い領域を深堀りしている存在ですが、サラ・スチュアート・テイラー女史の『狡猾なる死神よ:O’ARTFUL DEATH』(2003)において、墓石や墓碑銘の芸術史を専門とする主人公、スウィーニー助教授の研究領域は、沖縄先島の墳墓を別にすれば、日本での浅薄狭隘な墓地事情が身に沁みている我々からすると、たしかに驚くべき世界です。観光地の外国人墓地を覗き見るぐらいしかしてこなかった自分も、あらためて西洋社会の墓石や墓碑銘について思いを巡らせることは、自分にとっても、とても新鮮に受け止めることができました。そんなわけで、あっという間に読み終えてしまいました。野口百合子さんの読みやすい訳出に感謝です。キリスト教を信仰する国々でも、国によって墓石も千差万別で、よくイメージする十字架ばかりではありません。個人を偲んだ墓碑銘(エピタフ)についても数多あり、なかには、この本のように意味深なものもあり、研究内容としては面白いものです。これからもスウィーニーの物語は続くようなので、追っかけてみたいと思います。









