アメリカでも著名なミステリ作家を輩出しておりますが、ライス女史も草分けの一人です。1939年の作品ですので、ちょうど日米開戦前のきな臭い時期に当たりますが、彼女の小説を読んでいると、(少しばかり茶化した記載はありますが)そんな世情もどこか遠い国の話のように感じます。『時計は三時に止まる(8 FACES AT 3)』(小鷹信光訳)は、当初『マローン売り出す』のタイトルで邦訳(同氏訳)がでてましたが、これより新タイトルの方が分かりやすい気がします。内容はいわゆるユーモア・ミステリなので、凝らずに楽しく読むことができました。この本ではマローン弁護士が一応は主役扱いですが、実態はヘレン・ブランド嬢がかき回すことで、アップテンポな面白さを倍増させています。ユーモアや元気な女性などが受けたのは、おそらくはそうでない時代の反映だったのかも知れません。得てして人気小説とは、その時代に似合わない(得がたい)サムシングを描いたものが多いように思えます。ライス女史は、ジプシー・ローズ・リー名義やマイケル・ヴェニング名義なども使い分けていて作品の評価も高いようです。いずれそれらも読んでいこうと思います。









