スーザン・イーリア・マクニール4

前作『ファーストレディの秘密のゲスト』で終わりかと思いきや、まだ続編が出ていたので読み進めています。今回の『バッキンガム宮殿のVIP』は、マギー・ホープ嬢の活躍譚6作目にあたっていて、2017年初版というから、自分の基準ではピカピカの新刊になります。描いているのは第二次大戦下の大英帝国ロンドンですが、底を流れているテーマは現代社会でも十分通ずる(というか、今なお世界中で存続している)女性への差別感を訴えようとしています。英国は云うまでもなくジェントルマン、紳士の国とされていますが、その社会構造の中で近年まであからさまな女性蔑視、差別が続いてきました。今回の作品はそれを取り上げているので、おそらく半数以上を占めている女性読者が本書を手にして、大いに共感しているような気がします。英国が民主主義の先進国である点は疑いようもない事実ですが、そこでさえこうした社会感が近年まで(あるいは今なお)残っている訳です。他の国々の情勢は推して知るべしでしょう。そのことは我が日本も例外ではありません。マギーの大活躍は、こうした女性たちの苦しみや叫びを代弁しているようにも思えてなりません。