Ariana Franklin

今回は自分にとって初めての作家、アリアナ・フランクリン女史による『アーサー王と墓所の夢:RELICS OF THE DEAD』(2009)をご紹介いたします。舞台は12世紀のイングランド、女医アデリアシリーズの三作目に当たるようです。十字軍の功罪はいろいろありましたが、サラセン人の最先端医学に触れることができたのはヨーロッパにとってはメリットだったのかも知れません。アデリア自身はシチリア人とユダヤ人の夫婦に育てられた捨て子でしたが、当時の医科大学で学び、最先端の検死スキルを身につけています。彼女の才能と知識を買って、イングランド王ヘンリー二世が大ブリテン島に引っ張ってきて、数々の難題解決を図ろうとします。第三作目はタイトルに有るように、ブリタニア(大ブリテン島南部)のレジェンド・アーサー王とされていた棺の検死です。アーサー王は更に遡って、6世紀に大ブリテン島や周辺地域を統一した伝説上の人物です。ヘンリー二世は、抵抗し続けているウェールズ人が復活を願っているアーサー王が、すでに墓の中で死に絶えている事実を示したいと、アデリアに検死鑑定を命じます。そんな筋書きですが、さすがに当時の先端医学をもってしても、6世紀以上前の亡骸の検死は困難です。ですが、藪をつついたせいで、いろんな悪事が露呈します。なかなかのスケール感を感じるストーリーですが、当時の状況なら仕方がないのでしょうが、争いや死が多く描かれるので、個人的には苦手な内容でした。