P.G.ウッドハウス

軽い読み物を一つ、ということでウッドハウスの『ジーヴズの事件簿(才知縦横の巻・大胆不敵の巻)』二冊を読んでみました。世界中に「ウッドハウス協会」なるものが存在するほど人気の作家ですが、ミュージカルの作詞家として名を挙げたあとから、こうした軽い読み物作家に移ったようです。二つの大戦を経験しましたが、いずれも身体検査で不採用となり軍役につくことはありませんでした。もしも氏が身体剛健で健康であれば前線に駆り出されて、いまここで、私たちがジーヴズの小説を愉しむことが出来なかったかも知れません。「万事塞翁が馬」だと思います。
物語のストーリーは、卒なく優秀な従僕ジーヴズと人は良いが愚かな主人バーティとのやり取りで進みます。よくもまあこれだけネタが出てくるものだと感心しますが、イギリス人独特のウィットとユーモアにあふれています。どちらかというと、愚かなバーティに近い自分なので、思わず「そうそう」と頷きながら笑いが漏れるので、この本がアフリカ某国の大統領のストレス解消の愛読書になっていたと聞いて、それもまた「なるほどね〜」と納得してしまいます。それほど素敵な力をもった本です。