気温が上がり、花粉症がピークになって個人的には瀕死状態です。連休の主だった予定は取り止めることなりそうです。
閑話休題
久々のヘレン・マクロイ女史の作品、『ひとりで歩く女:She Walks Alone』(1948年)のご紹介です。主人公ヒロインの手記を辿っていく形の、この作品にはお馴染みのベイジル・ウィリング博士は登場しません。彼女の作品の特徴でもある、微に入り細にわたる心理描写を吟味しながら読み進んでいくのですが、次から次へと怪しい人物が登場してきて、どんどん迷宮に誘い込まれていきます。私はあまり「犯人はこいつだ」と決めつけずに、素直に没入して読んでいくスタイルですが、得体の知れない犯人が何時どうやって彼女を殺すのか、ハラハラドキドキしながら、あっと驚く最後まで楽しめること請け合いの作品です。それにしても終戦後まもなく、このような傑作を生み出せる米国の底力を感じました。実はこの時期には日本でも素晴らしいミステリが発表されていました。1948年は昭和でいうと23年、戦前からの耽美・怪奇趣味を継承しつつも、論理的な英米文学の影響を受けながら、横溝正史『夜歩く』や高木彬光『刺青殺人事件』 などの名作が生み出されています。解明できないおどろしさと、ロジックの融合でしょうか。こうした作品群を振り返ってみると、やっぱり戦争のない世の中は最高です。









