こちらも日本の小説になります。たまたまというか出版社の前を通りかかったときに、この本のタイトル『堕ち蟬』が刺さったので、どんな内容かも知らずに買ってしまいましたが、じつはセミの生態の話ではなく、著者は現役医師で大学の教授、テーマは臓器移植というか臓器売買の話でした。たしかに内容はとても詳しいのですが、工夫して書かれているようで、自分がよく分かっていない世界にも拘らず、けっこう真剣に読んでしまいました。馴染みのない透析の世界も垣間見ることができましたが、日常生活の中で当たり前のように存在しているはずの「健康」を求めて、蠢いている「闇」の部分にスポットライトを当てている小説で、あらためて健康の大切さを思わずにはいられませんでした。人というのは誰しも、現実より少しでもいい人生を過ごしたいという願いがあることは否定できませんが、その願いが強すぎるあまり、諦めきれなさを感じてしまうと、つい一線を超えてしまうものなのでしょう。一概には言えないのですが、こうしたリスクは誰も傍らに存在しているしているという気がしてなりません。









