Agatha Christie 39

法要で奈良に持っていった『バグダッドの秘密:They Came to Baghdad(1951)』ですが、どうも既視感があって、再読だと感じるものの、ここ数年、何の記録もないので初読本としてご紹介しておきます。ポアロもミス・マープルも登場してこない、いわゆる「ノン・シリーズ」のひとつですが、欧米では大人気になったようで、おそらくはオリエントのエキゾチックな風景が好まれたのでしょう。クリスティの作品には、いつもやたら元気のいい女性が登場してきますが、今回は出来のよくない貧乏タイピストながら、いつも前向きで嘘と直観力にたけているヴィクトリア・ジョーンズ。いつの間にか彼氏を追いかけ、バグダッドにまで行ってしまうのですが、途中で幾度もピンチを招いてしまいます。描写が優れているのは、クリスティ自身が幾度も現地に滞在したり、発掘調査に関わっていた二度目のご主人と過ごした経験が生かされているのでしょう。