今日は、1766年に出版されたゴールドスミス氏の『ウェイクフィールドの牧師』を取り上げてみようと思います。一人の田舎牧師の日常生活を描いた作品で、今なお多くの英国人に愛されている一冊らしいです。この小説のなかに流れている自然観とか信仰心が、英国人の心の深層にある琴線に触れるという話ですが、なんとなく分かる感じがしました。牧師一家を襲う波乱万丈の展開は、物語と云うよりなにか演劇でも観ているような気さえしました。しかも英国ならではの、当時の階級社会の構図はきちんと描かれています。物語の中で、牧師に言わせているのですが、英国民が最も価値あるものと感じているものは「自由」であり、それを享受するためには君主制を維持することが肝だと問いています。なぜなら共和制は必ず、法律が貧者を支配し、金持ちが法律を支配するからと論じています。君主制により上流「階級」を牽制することが、国民の真の自由を侵害することから守れる。というロジックです。上流階級の人々が如何に専横的だったのかを評しているのでしょう。さらに、長男ジョージの言葉にあるように「金があるというのは、大体において、どこの国でも自由の別名だと思いました」。この言葉には異論もあるでしょうが、自分的には得心のいく一節です。過剰な富は却って人を縛りますが、貧困は忌むべきものであることは、今も昔も一緒です。
いろいろ示唆に富んだ内容で、こうして250年後の読者をも愉しませることが出来るのですから、ゴールドスミス氏の才能たるや大したものだと思います。









