Milward Kennedy

あまり知らない作家ですが、国書刊行会の出している世界探偵小説全集のミルワード・ケネディ氏『救いの死:Death to the Rescue』(1931)を読んでみました。ここでは、プロの探偵ではなく、とある田舎町の紳士が、気になる隣人のことを調べていくと、とんでもない殺人事件が絡んでいることが分かり、いよいよ真相に迫っていくと、思わな展開が待っていた。というストーリーです。素人探偵が、暇に任せて推論を立て、あれやこれやと調査していくプロセスは、読み手としてもなかなか興味津々で、途中までは面白かったのですが、最後のところで拍子抜けしてしまいました。愉しみたいのは推理一辺倒ではなく、登場人物の心理描写が欠かせないと言うのが、私のスタンスです。その点では食い足りないかなと感じました。あとがきにも紹介されておりましたが、同じ時代にバークリー、セイヤーズあるいはカーなどそうそうたるミステリ作家が執筆していましたが、歯に絹着せないケネディ氏の人格や作風に対して評判はいまいちだったようです。作家の性格云々は本の中身とは別なのでいいとして、ミステリとしての完成度や出来栄えは、私としてもあまりいい評価はしていません。