ハヤカワ・ポケットミステリーは軽くて、出かけるときに読む分には良いのですが、ぺらぺらの紙質が好みでないので、家では余り読みません。とはいえ「フランチャイズ事件」などテイ女史の良作が発刊されていますので、そういうときは別です。今回ご紹介するのは『ロウソクのために一シリングを:A Shilling for Candles』(1936)です。例によって、とても読みやすい文体です。実は他のミステリー本(マイケルイネス)がなかなか読み進まないので、こちらに鞍替えしたのですが、それこそあっという間に読了しました。小説というのは内容もさることながら、読みやすい文体というのは、とても大切な要素だと思います。同時に訳者の手腕が問われるところでもあります。この本は直良和美さんの訳出でした。ここでもグラント警部が活躍しますが、単独行動でけっこう危ない場面もでてきます。警部様はそれなりの歳なので、もう少し部下に任せてしまった方が良いかと思いますが、そこはそれ小説だから仕方がないのでしょう。思いやりもあって、洞察力も鋭い娘がいい味を出しています。警察署長の娘エリカです。こうした善人キャラをさり気なく加えるのも、重苦しくなりがちな刑事ものとしては大事ですね。









