アガサ・クリスティ24

新年早々に、地震や航空機事故など大変なことが立て続けに起き、
とても心配しています。心よりお見舞い申し上げます。
あらためて「日常」の大切さを考える一年の始まりとなりました。
自分は年末年始はどこにも出かけず、ひたすら読書でした。
さて、今年はじめのご紹介は、クリスティの戯曲流れで『ねずみとり』です。こちらの作品は人気が高く、いまなお演劇界で半世紀以上ものロングラン公演(二万八千回以上)を続けていました。そんなわけで一度、ロンドンに出かけてお芝居を観てみたいところですが、ここ数年はなかなか機会もなく、残念ながら文庫本で我慢することにしました。
短編でもあり、舞台設定もあるので、雪に閉ざされた山荘での一室での出来事を描いております。とてもテンポがよく、しかも淡々と描いている脚本です。そのことはすなわち、俳優や舞台監督の腕の見せどころ(脚色要素)が各所に散りばめられていると言う意味でもあります。あまり細々と描きすぎないこと、小説とは異なり、これが戯曲のポイントですね。優れた舞台監督と俳優が揃えばロングランになるのも分かるように思えます。これはやはり、一度は舞台を観ずには収まりそうにありません。欧州行脚はいずれ行う心積もりですが、これでまたロンドン巡りという宿題事項ができてしまいました。