なかなか面白かったので、引き続き短編集を読んでみました。本のタイトルは『死人の鏡』となっており、他には『ミューズ街の殺人』『謎の盗難事件』『砂に書かれた三角形』が入っておりますが、すべてポワロものです。短編と云うこともあって、多くはドラマ化されており、わたしは両方を愉しみました。テレビドラマでは設定が原典とは多少異なっております。大きな筋書きは一緒ですが、脚本化するにあたり色々の制約があったのでしょう。『死人の鏡』については、簡単な?密室殺人の鍵を解けば、比較的分かりやすいプロットですね。『砂に書かれた三角形』はやや掟破りの感じがします。よほど捻くれた読み手でない限り、この謎解きは難しいでしょう。これらの二話はあまりわたし好みではありませんでしたが、『謎の盗難事件』については、お見事な手綱さばきをした名探偵ポワロに拍手をしたいと思います。誰が犯人という特定は重要ですが、その背景をあまねく暴露する必要は必ずしもありませんね。そして個人的には一番感心したのは『ミューズ街(厩舎街)の殺人』です。ネタバレは避けたいので、プロットの公開は避けますが、ひと一人の命はとても大切で、死に追い込んだ犯人(?)は厳しく誅すべきですが、神でもない人間が他者を絞首台に行かせるまで裁くことの是非については、とても難しい話になります。あれこれと妄想しながら「こうした展開もあるんだ―」と唸ってしまいました。さすがクリスティです。









