スーザン・イーリア・マクニール5


マギー・ホープシリーズの7作目、8作目『ホテル・リッツの婚約者』『スコットランドの危険なスパイ』は内容的に繋がっているので、合わせて紹介していきます。7作目はパリを舞台にナチス相手に騙し合いの応酬で、いったい何が真実なのか、誰が味方なのかも怪しくなって行きます。そしてドイツ人の妹、エリーゼ・ヘスとの再会など、シリーズの中でも、この回はダイナミックかつタフで、人間模様が入り組んだ展開になっています。両陣営が争う情報戦の最大のネタは、連合国軍の上陸地(ノルマンディーかカレーか)についてなのですが、イギリス側は二重三重のトラップを行い、ナチスドイツに絞らせません。最後は殺生なお終い方で、新刊で読み始めた人は辛かったと思います(笑)。そして8作目は、仲間の命をないがしろにする上司に逆らったマギーは、なんとスコットランドへの島流し幽閉。ところがそこでも新たな事件が起こります。同じように当局から隔離された工作員たちが、クリスティ小説のように次から次へと消されて行きます。犯人は誰なのか? はらはらしながら最後は、マギーの大活躍で留飲を下げることになるのですが、個人的には、いとも簡単に殺人事件が繰り返される展開は、あまり好きではありませんでした(犯人は最後まで掴めませんでしたが)。本シリーズは今のところこの作品までですが、まだまだ続くと思います。最大の敵というか、母親クララとの対決が残っていますし、本当の父親は誰だったのかもはっきりしません。サラは立ち直れるのかも心配です。そして肝心のマギーはいったい誰と結ばれるのでしょうか?まだまだ潮目となるパリ解放までの道のりは長いです。このあたりの伏線は、いずれ明らかにされるはずです