エリス・ピーターズ女史の作品は多く出ていますが『カマフォード村の哀惜:Fallen into the Pit』(1951)はペンネームを使う前、本名「エリス・メアリー・バージェター」名義で出版されました。いわゆるフェルス一家シリーズの一作目になります。出版年から分かるように、第二次世界大戦の爪痕があちらこちらに残っている世界の話です。この本の舞台となっている架空の小さな炭鉱村、カマフォードにも戦争で傷ついた多くの人々が住み、模索しながら少しずつ未来に向かって生きて行こうとしています。外国人労働者や元捕虜だったドイツ人などがストーリーに関わってきます。このような村にも殺人時間が起き、村の巡査部長ジョージ・フェルスが時間解決を急ごうと動きますが、濃密な人間関係が絡み合い、誰も真実を語ろうとせず、なかなか糸口が見つかりません。その子供であるドミニクが、ガールフレンドのプシーと、事件の証拠探しを親にも内緒で始めますが、事件はさらに複雑な様相を示していきます。ハードカバー本で400ページ以上もある大作ですので、一体いつ読み終えるのか不安になったほどでした。訳者(土屋元子さん)曰く、ピーターズ女史のオリジナル構文は複雑なので、かなり苦戦したそうですが、わたし的には愉しんで読むことができました。訳者に感謝するとともに、すてきな一冊に出会えたことを幸せに感じます。このフェルス一家シリーズとともに、修道士カドフェルシリーズも人気らしく、早速古書店で入手しました。年明けに少しずつ読んでみようと思います。









