図書館に行くと、たまに覗くのが「帰ってきた本」の棚です。図書館には多数の本がありますが、少なくとも「誰かが読んだ」本というのは、貸し借りで動いている本なので、それなりに価値がある本でもあります。サマンサ・ラーセンの『公爵家の図書係の正体:A Novel Disguise』(2023)は、おそらくはハーレクイン文庫などと一緒に置かれていそうなので、蔵書の棚にあっても目にすることはなかった感じの本ですが、読んでみたところ、とても面白い本でした。ミステリ性も多少あるのと、18世紀の英国社会に生きた女性を取り巻く環境を、いまの私たちに示してくれる格好の作品のようにも思います。人種差別や女性蔑視といった四文字熟語にしてしまうと、どうにも実感は湧いてこないのですが、この作品で触れている一部を知っただけでも、本当に大変だったのだと感じました。また、ここではイギリスの話なので、キリスト教文化の世界で語られてはおりますが、実際には仏教でもイスラム教でも当てはまるということです。









