Robert Goddard

1986年から作品を発表している英国の作家です。1990年代は多くの作品が邦訳され、いずれも人気を博したと言われています。近年のミステリ作家として成功した一人でしょう。今回手にした一冊は『一瞬の光のなかで:CAUGHT IN THE LIGHT』で、ハードカバー本で460ページもある長編です。浅薄でエキセントリックな主人公イアンのキャラにいまいち賛同できず、途中でやめようかと思ったのですが、少しずつ進んで一週間かけて読み終えました。続けた理由が、一つにはカメラというか、写真というか、そのことがメインテーマになっているためです。最終頁にある「写真は生者と死者を区別しない。ときの断片のなかに、光の破片のなかに、写真は人々の構図をはめ込む。いま、私たちが見えたと思っていても、それはもう見えなくなっている」という言葉が妙に自分に刺してきます。写真という世界は不思議なものです。そのときそこにいた人々はいまもなお、写真のなかにしっかりと生きているのです。予想したとおり読後感はあまり良いものではありませんでしたが、多くのことを考えてしまう、上手なミステリだと感じました。