ミス・リードによるフェアエーカー村ののどかな物語『村のあらし:Storm in the Village』(1958)は女史の初期三部作の一つ、ようやく読むことができました。のんびりした村でも(ちいさな、それでも大きな)事件はたびたび起きて、そのたびごとにミス・リード校長先生が悩んだり活躍したりするさまは、とてもあたたかく読んでいて、心がほっこりしてきます。しかも中村妙子さんの訳出も秀逸で、南英の田園風景が目に浮かんでくるので、これは私にとって効果絶大のデトックス(笑)なっています。今回の話は、近郊の原子力発電所の建設計画にともない、公営住宅の建設の話が持ち上がり、ともすると接収の憂き目をみることにもなりそうな情勢に、村人たちが右往左往するさまを描いています。今ならばあり得ない話ですが、英国労働党政権による土地接収など、国有化を邁進する1950年代の英国の空気を感ぜずにいられません。その後、60年代に北海油田というジョーカーを引いたため、英国における原発建設は下火になりましたが、昨今は脱炭素というキーワードで再復活しつつあります。どの国でも、どのような時代でもそうですが、国策のブレは国民に否応なく負担を強いることになりますね。右へ左へと政策の振れ幅の大きい英国の場合は、尚更そうだったのでしょう。さて、このシリーズの好きな点は、そこかしこに置かれている独り言というか、フレーズの含蓄です。今回の本で一番気に入った言葉はこれです「いいとき、わるいとき、どういうときも、やがては過ぎ去る」。









