トミー&タペンスシリーズ唯一の短編集『おしどり探偵:Partners in Crime』(1929)を読んでみました、収録されているのは15話ですが、そのいずれもが肩の凝らない愉しい作品です。いわゆる素人探偵ものですが、味があるのは夫婦の間で飛び交う会話がとにかく面白い。互いに相手の「失言」を軽妙にいなし行くあたりの空気感がたまりません。ベースラインで相手をリスペクトしているのでしょう、夫婦間のみならず、あらゆる人間関係はかくあるべし。という感想を覚えずにいられません。ちょっとした言葉のあやに引っ掛けて相手を非難する、こうした行為は対極にあって、それがどんどんエスカレートしてしまう光景は、日常生活のあちらこちらで見かけます。サンプルは国会中継を見れば良く分かりますね。思うに、根底(ベースライン)で相手ヘのリスペクトが有るか無いかだと感じます。家でも組織でも、はたまた国同士でも言えることですが、他者に対する理解が全ての平和に大切な一歩ではないでしょうか。ライトなミステリーから、こんなことまで考えてしまうのも、また楽しからずや、という話でした。









