しばらく書棚に眠っていた、ゴダードの『蒼穹のかなたへ:Into the Blue』(1990)を引き出して読んでみました。お気に入りのゴダード作品なので、ワクワクしながら読み進めましたが、裏切られることなく面白かったです。とはいえ、この作品が描くところの一つのテーマは「裏切り」だったりします。裏切りの前提は「信頼」だと思いますが、「信頼」が強ければ強いほど、それが裏切られたときに湧き出る怒りや憎しみは桁違いになるのでしょう。こうして考えると、「信頼」というのは極めて怖い存在という見方もできるかも知れません。人間がよりよく生きていくために必要な知恵として、何事にも適度な水準というのがあるようで、旧い言葉でいい表せば「及ばざるは過ぎたるよりまされり」とかいう事になるのでしょう。主人公ハリーのような、多少間が抜けているような人間の方が、つつがなく生きていくにはプラス、少なくともマイナスにはならないのだと、何となく自らの傷をなめているような気分になる一冊です。









