エラリー・クィーン

法事で旅行中、手許の文庫本が、存外に早々に読み終えてしまいました。そこで、前から気になっていました、クィーンの『神の灯』を読んでみようと思い、電子図書館で借りてみました。電子図書館は、たしかにこういう時は便利ですね。この小説は中編ながら、ディクスン・カーが選んだミステリ傑作10選にも挙げられているもので、短編集のため本のタイトルは『七匹の黒猫』となっていて、この中編ミステリ自体も、タイトルは『神の燈火(かがりび)』と表記されていました。グーテンベルク21なので、翻訳が古くて読みづらいと思いきや、結論から先に言ってしまうと、びっくりするほど面白い本でした。近鉄特急や新幹線のなかで、どんどん読み進めることが出来ました。内容の面白さとテンポ、そして真野明裕氏の訳文も良かったと思います。はじめは奇っ怪な怪奇ものかと思いきや、じつに理にかなった流れで、目からウロコものでした。使っているトリックも面白く、わたしが睨んでいた犯人は外れてしまったし、いろんな意味で愉しんで読むことが出来ました。それにしても、人間というのは、古今東西問わず、実に浅ましく愚かな存在ですね。