図書館で何気なく手にした一冊、アレン・エスキンス氏の『あの夏が教えてくれた:Nothing More Dangerous』(2019)ですが、第20章ぐらいまでは退屈で、遅々として進みませんでしたが、そこから一気に爆上がりで面白くなって、最後は感きわまり涙ながらに読了しました。ジャンル的にもミステリー小説ではありませんが、そうしたスパイスもすこし混ざっています。青春時代、たったひと夏の経験が、どれだけその後の人生の方向性を決めてしまうのか、そんなこともあり得るのだと感じました。人種差別や偏見というのは、古今東西どこでも消え去らない問題だと思いますが、見て見ないふりをするのも正しい行為ではないので、むしろ「誰しも心のなかに持っている観念」としてしっかり自覚して、そのうえで、そうした想念には抗っていくことを考えた方が良いのでしょう。ちょうど選挙戦でも、似たようなテーマで外国人への敵対的な姿勢を表す党派の公報をみるにつけ、人間というのは本当に徒党を組むのが好きな生き物だと感じました。ミズーリ州の片田舎の街の話で、作品のなか、あらゆるところにアメリカ的な情景が出てきますが、べつに海の向こうの国の話ではなく、意外にも身近な世界を投影しているのかもしれません。









