Janet Skeslien Charles

自分自身がかなりお世話になっているのが図書館ということもあって、『あの図書館の彼女たち:The Paris Library』(2020)というタイトルに惹かれて借りてみました。舞台となっているのは、パリにある「アメリカ図書館」です。この図書館は実在していて、2020年に創設百年を迎えたほどの老舗図書館です。パリにありながら、数多くの英語書籍や定期刊行物を提供しているという、いわばアメリカ文化の情報発信基地にもなっているところです。当然、外国人も多数出入りするところでもあり、第二次世界大戦時にはとても危険な場所にもなっていたわけです。それでも米国の参戦前は、なんとか保っていたのですが、真珠湾以降は日本やドイツなど枢軸国相手に参戦して、こことはとりわけナチスドイツにとっては忌み嫌われる拠点として捉えられていました。更にはパリ陥落後はさまざまの弾圧を受けて、敵性外国人に対しては利用者も職員にも多大な危害が加えられました。そのような状況においても「自由世界への窓口」として、ユダヤ人や兵士など必要とする人々に書物を届けるという行為が、圧政下においてさえ秘密裏に進められたのです。何気に好きな本を選んで読書を愉しめるという日常は、じつはとても尊い世界なのだと云うことが、この本を読んでみて分かります。