R・D・ウィングフィールド

たまには肩の凝らない面白いミステリを読みたくなる時があります。そんなときに良く候補に挙がるのがウィングフィールドのフロストシリーズです。今回は『クリスマスのフロスト:FROST AT CHRISTMAS』です。舞台となるロンドン郊外の街、デントンのフロスト警部の面白おかしく、且つ相当下品な推理小説です。イギリスも例外ではなく、多くの真面目で優秀な警察官のなかには、著しくそうでない人物もいるようで、ジャック・フロスト警部がその代表かもしれません。直感頼りで、傍若無人のワーカホリック人間であるフロストは、口も悪いし助平、警察という官僚組織ではもてあまし気味な存在です。それでも多くの同僚たちから好かれているという憎めないキャラで、新人や上司を「災い」に巻き込んでいきます。こんな警察官が一人ぐらいいても良いかも知れません。このシリーズが人気なのは、多くの人々は「自分もたまにはこう振舞えたら」と心のなかで感じているからでしょう。疲れたときに手にしたい一冊です。