フランスの若手作家、グレミヨン女史のデビュー作『火曜日の手紙:Le confident』(2010)を読んでみました。母国では40万部も売れたうえ、25カ国で出版されたようです。先の大戦ではフランスはいちおう連合国の一員だったようですが、軍備もドイツに比べて大きく見劣りしていたので、ドイツ軍の侵攻に際してもさしたる軍事的な抵抗もなく、市民の多くは南部に逃げたようです。首都パリも例外ではなく、政府もボルドーに逃げてしまい、パリは無防備都市宣言すなわち無条件降伏のような状況になってしまいました。そんななかで、とある女性がパリにとどまり不条理な出産をしたことから物語が進みます。フランス映画の常で、歪んだ情愛をベースにした展開なのですが、どんな環境においても母子の愛情はゆるぎなく、それが例え信仰や倫理観から責められようと、母親の愛は強固なものでした。娘に届く手紙によって、少しずつ謎が紐解かれていくのですが、全容は本当に最後の方まで分かりませんでした。こうした母性の世界は、男の立場からすると、到底心から理解することができないものですが、とても尊いものに思えました。









