Boileau-Narcejac

ミステリーチャンネルでフランス絶景ミステリー等をみた影響で、フランスのミステリ小説を読み始めています。法要での行き帰りに読もうと手にしたタイトル著者の文庫本『技師は数字を愛しすぎた』(1958)についての感想です。その本が書かれた時代背景というのは結構大切で、ちょうど第二次世界大戦の傷跡から、各国が戦後にむけて復興していく時期にあたります。一方、国際情勢は東西冷戦のピーク、いつ核戦争が起きても不思議ではない時期で、世の中がみな悲観的になっていたこの時期に売れたのが「ノワール小説:暗黒小説」になります。こうした時期の小説はダークサイドに振れがちですが、この小説は合作なので、推敲しながら作り進むために、単気筒エンジンのような荒々しさは薄れ、二気筒エンジンのように安定した文脈になるので、翻訳書でも読み易さを感じます。テーマは時代を反映した、殺人並びに核燃料チューブの盗難です。読みながらも既視感を覚えていましたが、巻末解説でも取り上げられているように、フレンチミステリーの大御所、ガストン・ルルーにありました。英米ものとは違うフレンチ・ミステリーをしばらく味わいたいと思います。