歳を取ると頭が固くなってしまうことを、周囲のふるまいを見ているとまざまざと感じてしまいます。少しでも脳みそを柔らかくしようと、何十年かぶりに『不思議の国のアリス』を読んでみました。1865年の作品ですが、今回手にした版は、挿絵はムーミンのトーベ・ヤンソン氏で、訳者は直木賞作家の村山由佳女史という、なかなか面白いコラボレーションです。読まれた方はご存知のように本の内容は支離滅裂であり、凝り固まったオジサンには眼が回るような展開になっておりますが、それでも新訳なのでずいぶんと読みやすかったです。念のために解説本まで借りてきて、それを参考にしながらの読書でした。キャロルはオックスフォード卒の優等生でもあり、子ども相手の本にも関わらずインテリ臭い言い回しがあちらこちらに出てきます。物語の内容は、幼いアリスの心のなかを投影しようとしているのでしょうが、実際にはキャロル自身の想念がかなり埋め込まれているようです。もともとのタイトルは「地下の国のアリス」ですので、これは恐らく大人になる前の少女の閉塞感や鬱屈した概念を表しております。キャロルはピクニックの余興で、即興で作った物語を知人の娘であるアリスたちに向けて話をしたのでしょう。物語のなかで出てくる、コミュニケーションがまるで成立しない得体の知れない登場者たちは、じつは大人たちを指しており、妙な国は世間という世界を示しているのだと考えます。奇妙な三月ウサギやネムリネズミ(ヤマネ?)にも会いたいけれども、わたし的にはグリフォンが一番興味深いですね。









