O.Henry…Reread

世界の名作短編と云えば、O・ヘンリーの傑作短編『賢者の贈りもの:The Gift of the Magi』(1905)が挙げられるのではないでしょうか。おそらく誰しも一度は読んでいるはずですが、わたしも何十年ぶりかに再読しました。歳をとると感性が鈍るとかいう話もありますが、今回もまた若いとき以上に感動を覚えました。いろいろな人生経験を経て、やはり人の思いやりや愛情の大切さにふれてきたので、そうした想いも巡って、なおさら感じたのかも知れません。クリスマスを迎える貧しいけれど愛情の深い夫婦が、それぞれの思いを相手に伝えようと、お互い日頃大切にしているものを犠牲にしてまで、相手が喜ぶようなプレゼントを買うというストーリーです。昨今こうした気持ちがないがしろにされつつある風潮を考えるにつけ、果たして人はどこまで善良になれるものだろうかと考えこんでしまいます。この話に限らず、O・ヘンリーの描く人間社会は、けっこう皮肉が強く出ています。当人は何かのアヤで刑務所送りとなって服役しましたが、そうした苦い体験があるから、人生に対してどことなく斜に構えたスタンスが出来上がったのかも知れません。今回、わたしが選んだのは傑作短編集ですが、他の話にも同じような皮肉さが滲み出ていて、それがまた多くの市井の人々の共感を誘うのでしょう。