今回はたまたま図書館で借りたアーロン・エルキンズが描く、学芸員クリス・ノーグレン博士のシリーズ『一瞬の光:A GLANCING LIGHT』(1991)のご紹介です。舞台はイタリアのボローニャ、イタリアと云えば出てきそうなのが暗躍するマフィアになりますが、今万人回も期待通りに登場してきます。ソーセージやスパゲッティ(ボロネーゼ)などでしか耳にしたことがない、中ぐらいの規模(人口40万人)の街ですが、どうやら反骨精神旺盛なところらしく、第二次世界大戦中のボローニャはレジスタンス都市であり、ナチスドイツやファシストを市民の力で追い出し、自力で街を解放したそうです。政治的にも左寄りで、最近まで左翼民主党(旧イタリア共産党)の本拠地でした。それもあってか、この赤煉瓦の街を「赤いボローニャ」と呼んだりすることもあるようです。反骨精神というのは芸術には欠かせないもののようで、ここは音楽や美術などの文化都市としても有名なようです。そんな街で発生した美術品の盗難事件に絡んだ殺人事件。シアトル美術館の展示用作品の交渉に訪れていたクリスは、どんどん事件の渦中にはまっていきます。盗まれた作品は巧妙にロンダリングされて、”たまたま事情を知らない善意のコレクター”の手に渡って、そして発覚します。当然のごとく保険が掛けられており、コレクターには謝礼が支払われます。盗んだ人間が直にさばくと、たちまち逮捕されますが、こうして迂回することで換金化できるという仕組みが出来上がります。つまり、コレクターが善意かどうかは、たまたまなのか仕組まれたのかは、証明しようがないので闇のなかということになります。違法薬物などは関係者を罰し、ネタを焼却すればおしまいなのですが、美術品の場合、ネタが破壊されては元も子もないので、警察もまた美術品奪還に照準を合わせることで、介在者には緩い対応をするという話になります。泳がせることで、次の盗品も網にかかりやすくなるという話です。怖い話ですね。









