思いがけずに素晴らしい作品に出会うと、とても幸せな気分になります。そんな一例として、イギリス人作家、エリス・ピーターズ女史の『雪と毒杯:THE WILL AND THE DEED』(1960)をご紹介したいと思います。出版年からすると、おそらく現代ミステリにカテゴライズされると思いますが、飛行機の不時着によって否応なく雪深い山中の宿に閉じ込められた相続人たちの間で起きる殺人事件という、まあ典型的な舞台設定で進められていく物語です。それでいて古臭さを感じさせないのは、アリンガムやセイヤーズでお馴染みの、猪俣美栄子さんの訳出が秀逸だからなのでしょうか。そもそも、ピーターズ女史はCWAのエドガー賞や、修道士カドフェルものでシルバーダガ―賞を得ているので、その筆力は相当なものだと言えます(彼女も幾つかペンネームを使っていて、初期にはイーディス・バージター名義で歴史小説の話題作を複数出しております)。何ゆえか今まで触れたことのないピーターズ女史の作品を、これからしばらく集中して読んでみようと思います。









