Paul Halter 2

アルテ氏の「オーウェン・バーンズ・シリーズ」の第四作目、かつ初の邦訳版となった本作品『あやかしの裏通り:LA RUELLE FANTÖME』(2005)ですが、フレンチ・ミステリーの大御所にも拘らず、あえて本作の舞台は霧深いロンドンに置いています。煉瓦の壁に囲まれた裏通りの路地「クラーケン・ストリート」で起きる、なんとも摩訶不思議な光景と殺人事件の話です。霧のなか、ここにさまよい込んだ人間は、この世のものとは思えぬ光景に仰天して、大慌てで通りに出てみると、あら不思議、この路地は跡形もなく消え去っています。どうして、なんでそのような事が起きるのか、バーンズ氏と友人たちが、その謎と背景を解き明かしていきます。バーンズ氏には見えていたようですが、真犯人は最後まで分かりません。ロンドンの街並みを描写するのも厄介であり、フランス人なのだから、パリを舞台にして同じような話を組み立ててていけば良いのになあ、とも感じましたが、フランス人にとってのロンドンと云うのは、恐らくは、こんな禍々しい街のイメージなのかも知れません。