クリスティ作品の中でもマイベストに挙げているメアリ・ウェストマコット名義の『愛の重さ:The Burden(1956)』も再読しました。喜ぶべきか嘆くべきか、再読にも拘らずほとんど覚えていない自分がおりますw。訳者はミス・リード作品と同じく中村妙子さん。本当に読みやすい訳です。ミステリー的な要素はありますが、これは恋愛小説だと思います。犯罪も恋愛も「感情」がドライブします。人間を描くやり方は色々ありますが、犯罪という局面から行く場合と、恋愛という切り口でもっていく場合どちらでもクリスティ女史はお手のもの。彼女の描く恋愛には緊張感と苦しさがあるようです。シンプルに「愛情」と言えばポジティブな要素しか想像ができませんが、この作品ではまったく反対側から「愛情」を表現しています。姉妹が互いにもつ深い愛情を知り、その厳しさが身に染みます。究極的には、人は自分が満足するために生きていくもののようです。はたから見て、命を削るようなひどい苦行にしか見えなくとも、そのことで自らが満ち足りていれば、それが当人にとっては正しい在り方なのでしょう。自分でない他人に余計な介入をすることは間違いで、却って危険だと、この作品は訴えています。









