児童文学の流れでジーン・ウェブスター『あしながおじさん:Daddy-Long-Legs』(1912)を読むことにしました。チビだった頃に間違いなく読んでいるはずですが、はるか忘却の彼方に行ってしまっているので、中身はまったく覚えていません。孤児院を出てから高校に通いつつ、孤児院の子どもらをサポートしていたジュディが、思いがけずに篤志家の「あしながおじさん」から支援を受けることになり、その女子大生活を頑張る姿を、彼女の手紙をもとに読者に届けていくという構成は、けっこう面白く、また児童向けを想定しているので読みやすいかったです。この本は日本でも人気となり、1933年には『あしなが おぢさん』として岩波書店から発行されて、そのあとも多くの訳本が発行されています。児童書として優秀な一冊であることは論を待ちませんが、大人が読んでも色々と感じることが多い小説です。いまから百年ちょい前でも、とりわけ女子に対しては不自由さは半端なくあったことや、ガラスの天井についても、今日の社会の中でも明らかに存在しています。それに加えて、むかしも今も人間には「拠りどころ」という存在が必要なのでしょうね。悩みや辛さを共有する場所がないことは、大変な苦しみだと思います。今回の新潮文庫版の邦語訳を担当したのは岩本正恵さんですが、残念ながらご逝去され、本書は最後の訳書になりました。文体にも違和感がなく、とても読みやすかったです。









