アンソニー・ホロヴィッツ

人気作家ですが、これまで敬遠してきました。それというのも、たまたま見た書評でディスられていたことが、どこか頭の隅に残っていたからです。
たまたま連休でU-Nextで『カササギ殺人事件』エピソード1〜6話を見て、あまりの面白さに驚いて、早速図書館に行って、『ヨルガオ殺人事件』を探し出して読み始めました。この物語は『カササギ』の続編にあたり、ヒロイン役のスーザン・ライランドがクレタ島のホテル経営で四苦八苦しているところから始まります。カササギ同様に、この物語も作中作『愚行の代償』がフィーチャーされており、そこに名探偵アティカス・ピュントが登場してきて、難事件を解決に導きますが、それが8年前の殺人事件と同期しながら、それがそのまま現在の失踪事件につながっていくという、『カササギ』の構成をそのままなぞらえてストーリーは進みます。現在と過去、物語と現実世界という四つの時系列を行き交いしながら、幾重にも絡まった謎を解きほぐしていきます。よくもまあ、このような展開を考えつくものだと舌を巻きますが、『ヨルガオ』は単なる続編としてではなく、独立した作品としても大変素晴らしいものに仕上げっています。上下二巻と大作ですが、そこはそれ、作中作ふくめて二つの推理小説を愉しんでいると思えば、決して長くはありません。あらためて再確認したことですが、他人の書評ほどアテにならないものはありません。これからは、自分の直感で選んでいこうと思います。