今回は『雨の国の王者:KING OF THE RAINY COUNTRY』(1966)になります。ニコラス・フリーリング氏をどうして知ったのかというと、リメイクされたイギリスの人気ドラマから流れてきた結果です。アムステルダムが舞台なので、てっきりオランダ人の作家と思いきや、フリーリング氏はイギリス生まれのイギリス人でした。本作品は1967年にアメリカ推理作家協会から最優秀小説賞のエドガー賞を受賞したものですが、謎解きやトリックを期待して読むと、あてが外れると思います。作者は「なんでそうなった」という点を重視しているので、プロットは当然、登場人物の心象風景を描きながら進んでいきます。主人公のファン・デル・ファルク警部(ここではまだ警部)は、感情に流されて失敗も時々するし、失踪者を追いながらも悩み、迷走していきます。完璧な刑事や探偵を好む読み手には、こうしたタッチが気に入らないと思うかも知れません。プライドも、ストイックなこだわりも、ある意味人間臭さの発露ですし、芸術や故事などの教養に関しても、かなりの知識人という設定なので、個人的にはかなり気になるキャラクターです。









