アーロン・エルキンズ作品には、いくつかのシリーズがあって、さきの夫妻共著の女子プロゴルファーもの、骨から探っていくスケルトン探偵もの、そして美術ものになります。美術ものは学芸員クリス・ノーグレンが主人公のものが人気ですが、今回取り上げたのはベン・リヴィアが主人公の作品、『略奪:LOOT』(1999)です。登場してくるのはナチスドイツや、ロシアン・マフィアなど、かなりスケールの大きな舞台を描いた作品になります。それもそのはず、本物の希少絵画は世界規模で取引されているので、当然の如くそれを描いたミステリーも国際色豊かなものになってきます。名作の真贋鑑定も重要な要素ですが、たとえ本物でも長い歴史の中で名作は奪われたり、押収されたりしながら、持ち主が変わっていきます。ならば、その所有権のあり様はどうなっているのか、現在の所有者が正しいのかどうかは、その「来歴」をきちんと把握しておかないと、いくら手に入れたとしても、その後に正しい所有者が現れて裁判沙汰になり、跳んだ失敗になることも有り得ります。素晴らしい名画の裏には、争いごとや陰謀が渦巻いているという話で、人間社会はなんと罪深いものなのでしょう。









