時節柄、クリスマスの話題を描いた小説を読みたいと思い、それこそ何十年かぶりにディケンズの『クリスマス・キャロル:A Christmas Carol』(1843)を図書館で見つけて読むことにしました。子どもの頃に読んだ本を再度手にすることは決して悪いことではなく、過ぎ去った年月に刻まれた自分自身の変化(進化か劣化は別として)を踏まえてみると、まるで違った物語に見えてきます。しかも不思議なことですが、キリスト教がほとんど浸透されてない日本で、これほど長く本書が読み継がれてきたことに驚きを隠せません。ちなみに、出版された1840年代の英国は「ハングリー・フォーティーズ」とも呼ばれたように、近代工業化の副作用で発生した飢餓の時代でもありました。資本家の富裕化と裏腹に、市民層の困窮が進んで、どこかで聞いたように「格差の拡大」が進みました。そうした中で、「守銭奴」とかいう蔑みの言葉や、「慈善活動」の大切さが社会の中で普遍化していきました。そうした社会の流れを敏感に察したディケンズが書いた本書は、出版されるや記録的な売上げを記録したようです。おそらく、主人公のスクロージはディケンズ自身を投影しているのでしょうが、わたし自身も感じたように、読み手のひとり一人にとっても、決して他人事とは思えない感情を引き起こす一冊です。こうした本は生きていくうえで、必ずどこかで役に立つはずでしょう。









