Agatha Christie 37

図書館で『シタフォードの秘密:The Sittaford Mystery(1931)』を見つけて借りてきました。なぜか既読しておらず、久々の初読本になります。ポアロもミス・マープルも出てこない「ノン・シリーズ」です。いわゆる探偵役はエミリー・トレファシスで、一見カワイイ系で、その正体はあっぱれ系のヤリ手女子になります。何しろ頼りないフィアンセが殺人容疑で逮捕されたので、彼女にとっては緊急事態、周りの人々の歓心をかうことに長けている手腕を発揮し、ナラコット警部とともに真犯人を追いかけます。クリスティの作品には、こうした元気の良い女性が登場しますが、当時の英国における社会情勢では、おそらくそうでなかったのでしょう。女性が社会進出し始めたのは、第二次大戦が始まって、戦場以外で男手が枯渇してからだと思われます。欧州の中でも英国社会はなおさら保守的でしたので、こうした小説は一つの希望的なフィクションとして、女性層から親しみをもって受け入れられたと見ています。いま読む分には全く違和感は感じません。クリスティは未来を明確に見ていたのかも知れません。