今回のご紹介は「修道士カドフェル」シリーズ、第11作目の『秘跡:An Excellent Mystery』(1985)光文社文庫版で、これは大出健さんが訳出しています。世は乱れてていて、女帝モードは思いがけない市民の反対で、ロンドンから逃れたものの、少なくとも教皇側を味方につけたいため、ウェストミンスター司教ヘンリーに恭順を強いるのですが、風向きが変わったことを知った司教はまたまた寝返り、今度は女帝モードに反旗を翻します。さらには、幽閉され続けているスティーブン王ですが、王妃が軍勢を集めて女帝モード軍をウェストミンスターで包囲します。切羽詰まった女帝モード軍は、包囲網突破を図るために、近隣都市のワーウェルを攻撃します。そこで壊滅的な被害にあったのは尼僧院。そこに、かって婚約をしていた許嫁が暮らしていたことを知った修道士であり元十字軍兵士は、部下に安否確認と捜索を依頼します。当人はすでに戦の傷が悪化して、余命幾ばくもない身ではあるのですが、シュールズベリー修道院のカドフェルの治療と看病で、なんとか命をつないでいました。いろいろな伏線が錯綜していて、とても面白い物語です。このシリーズが好きな理由の一つとして、脇役がじつに良いキャラクターばかりで、全編通じて、作者の人間への深い愛情が感じられることです









