Ellis Peters 11

今回のご紹介はエリス・ピーターズ女史の「フェルス一家」シリーズ第3作目『死と陽気な女:Death and The Joyful Woman』(1961)です。イギリスの作家にも拘わらず、本書はアメリカ探偵作家クラブ賞の受賞作になりました。プロットはピーターズ女史のお得意の展開で、フーダニットも読後感も十分満足できるものでした。このフェルス一家シリーズでは、すでに『カマフォード村の哀惜』は読んでいたので、楽しみながらページを進めました。何といっても16歳という多感な時期を迎えているドミニックが、さる事件に巻き込まれ、というか自ら進んでキティを助けようと、危険をかえりみずに事件の渦中に飛び込んで、そして自分自身も成長していくという手法は、アメリカ人読者を惹きつけるにはいい設定でした。アメリカ探偵クラブの受賞もおそらく女史の確信犯的な作戦でしょうね。早川書房のポケットミステリーでも、けっこう古い翻訳(1964年高橋豊さん訳)なのですが、読んでいてあまり違和感はありませんでした。内容も訳出もいい作品だと思います。