古書店にゴダードの『闇に浮かぶ絵:Painting the Darkness』(1989)が並んでいたので、読んでみました。今回もまた考えさせられる物語で、複雑なプロットの錯綜で、途中には何が何だか分からなくなってしまいましたが、やっぱりゴダード作品は面白いです。途中まで上手く行ったはずの、完璧なまでの作為的なすり替え策を崩してしまうものは、およそ打算的とは言えない男女の心の機微です。こうした感情の強さは、当事者以外からは全然見えないものなのですが、そこまで干渉しあえるものなのでしょうか?イギリス人と日本人の違い、あるいは信仰心の違いなどもあるので、簡単に答えは見つかりそうにありません。わたし自身について云えば、若い時分にすら、自らを頑なに拘束するような強い感情を抱いたことはありません(つねに自問自答している)。自分に対してもそんな感じなので、身近とは言え、他者を束縛するような気持には到底なれませんが、この作品では強烈な干渉が男女間で絡み合います。結局のところ、例え周囲を傷つけても思いのまま得ようとする、火傷するような熱い情念というのは、独りよがりな感情の爆発だと断じても間違いではないなとも感じました。私のような付和雷同は、古今東西問わずに嫌われるものですが、その反対もまた程度問題でしょう。









