基本的にハードボイルドものは嫌いではありません。なにかに拘ってストイックになっている男をみていると、自分が逆立ちしてもできない生きざまに触れてか、一種のあこがれを感じてしまうからでしょう。今回、手にしたハーシュマンの『片目の追跡者:Guilty Witness』(1964)はガチガチのハードボイルドものとは云えませんが、それでもストイックに生きていこうという心情を描いています。隻眼の敏腕探偵スティーヴ・クレインが、疾走した相棒ベンを探し当てていく中で見つけた、その先にある、人の心にある深い闇の話。作品の出された年代から連想するように、男たちが戦場で失ったもの、あるいは得ることができたものに、否応なく縛られたり踊らされたりしながら、その後の人生をとにもかくにも生き続けていく姿を描いております。探偵モノには、愛人や恋人などはともかく、家庭や夫婦生活も舞台に取り上げにくいのが一般的ですが、この作品では大きな鍵となっています。現代の小説ならいざ知らず、60年代にこうした切り口で物語を作れたことは驚きです。









