ミス・リードによるイギリス田園地帯フェアエーカー村を舞台に展開してきたシリーズですが、今回読んだ『村をはなれて:Village Affairs』(1977)は、訳あって無二の友人エイミーと連れ立って、ギリシャのクレタ島に夏休みの旅行(静養)にでかけることとなった、女校長ミス・リードの楽しい物語になっています。旅先の出来事のみならず、旅を挟んだ前後での、さまざまな「試練」にもめげずに前を向いて進んでいくミス・リードですが、決して自信満々の独身女性ではありません。どこかしら能天気で、あまり細かなことにこだわらない彼女のキャラが、この物語の背骨になっているので、その周囲に集まってくる人々も、内面はいい人たちばかりで、お陰様で愉しみながら読み進めることができます。そして、今回もまたミス・リードの独り言には、とても含蓄あるフレーズがそこかしこに出てきます。「おそらくわたしたちは持ち物が多すぎ、そのうえ遠くを見ることに慣れすぎ、明日についてこと細かに思いわずらっているのだろう。」物欲や煩悩、不安に悩まされながらも、ミニマリズムを志向したいと願っている自分には、これが珠玉の言葉かも知れません。









