Jerome Klapka Jerome

季節の変わり目ということでしょうか、たちの悪い風邪をひいてしまい寝込んでいます。皆さま、くれぐれも体調管理にご留意ください。
さて、本日の話題は英国で人気を博した、ジェローム・K・ジェロームの作品『ボートの三人男:Three Men in a Boat』(1889年)です。この本は英国で大人気だったようようで、日本でも、筑摩書房が『世界ユーモア文学全集』のなかの一冊として、多くの方に読まれました。ミステリー小説ではありませんが、あの丸谷才一の翻訳だったので、ついつい手にした次第です。三人の「紳士」と一匹の飼い犬が、テムズ河でのボートの旅を愉しむ、というのがストーリーなのですが、これら「紳士たち」の間抜けた行状と、回想も含めた愉快な出来事に、おもわず笑い出してしまう作品で、電車の中で笑いをこらえるのに難儀しました。作者自身を自嘲的に描いているのかも、ということで有閑貴族のなれの果てかと想像しましたが、実はジェローム氏は15歳で両親に死に別れ、それから苦労していろいろな職業を歴任してから、雑誌編集者として頭角を現した傑物のようです。広くユーモア小説とか云うと、中身のない薄っぺらなものを連想しがちですが、この作品のすごいところは、面白さのなかに多くの知識や知恵が散りばめられている点にあります。腑に落ちるというか、「そう!それなんだよ」と思わず叫びたくなる事柄が至るところにあります。叡智とウィットが同居しているのが、私の感じている英国人ですが、この作品からもそれが溢れています。それと、この作品を読んでみて、いつか犬を飼うときにはフォックステリアにしたいな、そう感じました。